絵画に登場するへんないきもの~想像と創造~

 ファンタジーやSF作品の世界にはドラゴンやユニコーンなど様々な空想上の生物が登場し、観る者を魅了しますが、絵画(図譜や書物を含む)の中にはそれらの生物以外にも、奇妙で面白い怪物や謎生物が描かれていることがあります。何気なく絵画を観ていて発見したり、またどんな意図で描かれたのかを想像したり探ってみるのも面白いです。

ブリューゲルの『バベルの塔展』のグッズと、『エッシャー展』のでんぐりでんぐりのメモ帳

 『バベルの塔』の絵で有名なブリューゲルの作品の中には、小さな魚を咥えている足の生えた大きな魚のような奇妙な謎生物が登場します。これは、「大きな魚は小さな魚を食う」という西洋のことわざを具現化したものだそうです。他にもブリューゲルの作品にはくちばしに針がささったような変な鳥?や、ひれで飛んでいるように見える魚?や帽子をかぶった頭部から手だけが生えたような謎生物などが描かれています。何かわかりませんが、たぶん、何か意味があるんでしょうね。(笑)

 ちなみにブリューゲルに多大な影響を与えたヒエロニムス・ボスの作品も様々な謎生物が描かれていますので、ご興味のある方はぜひ探してみてください。だまし絵で有名なエッシャーの作品にも、なんとも愛くるしいフォルムの、通称「でんぐりでんぐり」と呼ばれるへんな生物が描かれています。

『針聞書』に登場する「はらのむし」。左から「腹痛のむし」、「大病の血積」、「ソリの肝虫」(樹脂粘土で作成)
「腹痛のむし」は、私の体内に巣食っていたので摘出して標本にしてやりました。(笑)

  日本は古来より万物に神が宿るという八百万の神の概念や、妖怪やもののけにおいては百鬼夜行など、動植物や物、自然現象に至るまで、擬人化して創造することが得意だったようです。

 そんな中で、学術的な文献に大真面目に描かれていた謎生物もいます。たとえば『針聞書(はりききがき』という医学書に登場する「はらのむし」。医療が未発達な戦国時代には、病気は体の中に巣食うさまざまな「むし」のせいだと思われていたようです。これはもう、擬人化ではなく擬虫化ともいえるべきものではないでしょうか。腹の虫が治まらない、疳の虫、虫の居所が悪い、などは今でも言葉として残っていますね。

左)グランヴィルの書物の挿し絵に登場する奇妙でちょっと不気味な生物たちは、当時の世相を反映した風刺画が多いようです。
右上)歌川国芳の擬人化した金魚(フィギュア)。
右下)生物学の学術書のパロディ、「鼻行類(びこうるい)」に登場するユニークな生物(プラ板で作成)。

    

  

  

  

 

 他にも、絵画の中には様々な謎生物が潜んでいることがあります。ポケモンを探すように、お気に入りの謎生物を見つけるのも面白いのではないでしょうか。皆さんも是非、探してみてください。

 この記事を書いた人 住吉区苅田 寺田伸謙